カテゴリー「青紫の回廊」の10件の記事

詩集《青紫の回廊》 10

 

  静寂

 

 

時の止まった水のおもてを

小さな石の波紋の夢が

かすかにふるわせて

 

風にただよう雲の彼方に

虚空の闇のささやきが

細い陽射しにからまって

 

瞳にうつす水底に

動くことなき瞬間を

 

砂に染み込んだ潮の息吹を

打ち捨てられた貝殻が

夕日の鏡を照らしつつ

 

白い花びらの散った光に

慈悲の涙をのみこんで

祈りの中に沈み逝く

 

 

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詩集《青紫の回廊》 9

   水紋

 

 

流れゆく水の静寂の波の

ほそきおもてに

そっと手を当てて

光と影を指の先で

掬っては落とし

 

小さくなぞる夢の形見を

微かな声が心にふるえて

 

白い朝靄をきざむ時の

波にただよいて

くちびるの紅を

淡いキスに滲ませて

彼方の空に耳を澄ます

 

 

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詩集《青紫の回廊》 8

 

   ひとかけらの永遠

 

 

瞳には運命を超える光があった

紫の虹の光よりも淡く

掌の一粒の雪よりもはかなく

少女は不安定に微笑んだ

 

瞬間は永遠を突き抜けて

夢幻の宇宙へと飛翔した

銀色に揺らめく星の瞬きも

青白く滲む月の波動も

細い指の間をさらさらと流れ行く

 

目覚める前の混沌のひととき

瞬間を凍らせるために少女を殺す

現実に蝕まれぬ純粋な輝きを

永遠の美に結晶させるために

 

そして

冷たく凍り付いた青い唇に

ひとひらの口づけを贈ろう

 

 

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詩集《青紫の回廊》 7

 

   紫の少女

 

 

群青から滲み出す赤が染め上げた淡い薄絹の衣を身にまとい

少女は瞬間の狭間を流れていく

 

微かにこわばった微笑みも流れる黒髪も

心にひとときの永遠を焼き付けて

夢幻の彼方へと溶け込んでいく

 

現実と幻想の間を揺れ動く私は

愛することも触れることもできぬまま

失われた少女の面影を追い続ける

 

ああ、永遠の少女よ

あなたをこの手に抱くには

私の存在はあまりにも虚ろだ

 

せめて無意識と永遠の時空の奥底で

そっと紫の視線を投げ掛けて欲しい

私が現実から解き放たれるその瞬間に

 

 

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詩集《青紫の回廊》 6

   みずいろの哀しみ

 

しんしんと積もりゆく

マリン・スノーのように

絶望のかけらが降り注ぐ

透き通った群青の闇の中に

鮮やかな枯れ葉色の光を滲ませて

 

密かに憧れ続けた平凡な幸福は

一瞬の感性の暴発に砕け散り

もはや二度と戻らぬ夢の屍は

金剛石の光を帯びたかけらとなって

掌の隙間から音もなく零れ落ちていく

 

現実の眩しさに射抜かれて

絶望の闇に墜落した魂は

混沌とした意識の底を彷徨う

微かな思い出の残照を求めて

見失った愛の抜け殻を求めて

 

沈黙した冷たい青の深淵に抱かれ

わたしは独り永遠の眠りにつこう

降り続けるマリン・スノーの幻影に

無限なる彼方への願いを込めて

 

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詩集《青紫の回廊》 5

   WATER BLUE

 

 

さらりとした光のふるえる透明な水底へ

どこまでもどこまでも潜って行く

透き通った水色の沈黙が降り積もる

魂の奥底の深く明るい湖の深淵

 

心を切り裂く静けさと凍るような冷たさ

そして荘厳な眩さに満ちた光と清浄の世界

 

燃えるような情熱も怒りも欲望も

青白く突き刺さる理性の流れの中で

たぎりきった熱さを失って凍結していく

 

生も死もそこにはない

ただ手にすることの叶わぬ

永遠の真実だけが

澄みきった光に守られて

ぼんやりと漂う

 

近づけば近づくほど

命が引き剥がされていく

それでも潜るどこまでも

その冷たい恍惚の中に自分を委ねて

 

透き通った水色の沈黙

魂の奥底の深く明るい湖

その水底の光の中に心は魅せられて

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詩集《青紫の回廊》 4

 

   NIGHT BLUE

 

 

私は夜の青い鳥

淡い月の光を浴びて

闇の中に星色に浮かび上がる

透き通った銀青の羽毛が

夜の風を柔らかに押し退け

星の光のシャワーに

優しく揺れる

 

だけど手は触れないで

太陽の光の下で育まれた思いは

私には熱すぎて耐えられぬ

 

けれど

はかない泡沫の夢の中でなら

恐れることなく羽ばたける

傷付くことなく生きられる

 

明日をも知れぬ暗い闇

未来すらない夢の空

今宵も月と星の吐く

青の光に飛んでいる

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詩集《青紫の回廊》 3

 

   群青

 

どこまでも続く深淵に

希望という名の夢が溶けるね

明日を信じて疑わない君だけど

あの鮮やかな輝きだって

とっくに失われた過去の幻かも知れないよ

 

大好きな青をどこまでも濃く重ねていくと

こんなに深い闇になるのかな

大好きな青をどこまでも透明にしていくと

こんなに鋭い光になるのかな

 

そんなことを考えながら

ぼんやりと空を見上げてる

君の胸の鼓動さえ聞こえてきそうな

しんしんとした夜のひととき

 

ねえ君

僕はもう絶望してしまったけれど

たったひとつ、君の持つ可能性だけは

本当に心の底から信じていたいんだ

 

ほら、あれがオリオン

そしてあれがリゲル

 

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詩集《青紫の回廊》 2

 

   時空

 

スプーン一杯の哀しみと

一滴の淋しさを

クルクルとかきまわしながら

透きとおった紫の光の揺れる

現実と幻想の挾間を漂う

 

「あなたには生活が感じられないの」

不意に顔を背けた彼女の叫びが

混沌とした夢の中に埋もれた

遠い記憶の深淵に谺する

 

けれど

パックリと割れた虚無の闇を

哀しみの瞳で覗いた時から

すべては生々しい実感を失った

 

理想という触れることの適わぬ幻影と

現実という目覚められない悪夢

もう二度と普通の日々には戻れない

 

永遠に続く時間の牢獄の中で

宿命と呼ばれる透明な河が

凍った素足の間を流れていく

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詩集《青紫の回廊》 1

   青い月の水面

 

ミルク色の霧の落ちた水面に

篠舟に乗せた殺意を浮かべ

凍りついた時間の間をゆうるりと漂う

鉛のような命への沈黙

 

絹糸の細さの青い光を切って

すっくりと立つ剃刀の刃

月の光の中に銀色に浮かび上がる

透明な絶望の輝き

 

殺したいのは自分か自我か

無意識のカオスの湖を

イメージの闇が通り過ぎる

鮮やかな虚無の空白

 

朝焼けの光に包まれた悪夢の中に

狂った時計の音が聞こえてくる

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