カテゴリー「詩歌・歌詞」の234件の記事

眠りと目覚め

   永遠に眠る前に
 

 

若い頃のように

連続八時間とか

十時間とか

眠ることができなくなった

 

およそ四、五時間で

どうしても

トイレに行きたくなって

目が覚めてしまう

 

もうすぐ還暦を迎える

そんな年齢を考えれば

相応に身体も衰えた

そんな感じがする

 

多少不便なことではあるが

受け入れられない程でもない

一度起きてしまっても

たいていまた寝られるからだ

 

夜の仕事に変わってから

早起きをしなくても良くなって

帰ってご飯を食べて薬を飲んで

布団に入れば不自由なく寝られる

 

少し夢を見る回数は減っているが

眠りについてトイレに起きて

また布団に入り眠りに落ちる

そして午後の目覚め

 

そんな繰り返しの中で

暦は変わり季節は巡る

そして歳を重ねて

やがては死に至る

 

人生も終盤に足を踏み入れた

そんな気がしないでもないが

先に逝った人たちの分も

しっかりと生きていこう

 

永遠の目覚めのない眠りを

迎えるその日まで

 

 

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闇のまどろみ

 闇のまどろみ

 

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落ちていく落ちていく

抵抗もかなわず落ちていく

疲れ切った心には

光はあまりにまぶしすぎて

 

愛へと進化できずに

散ってしまったはかない恋も

希望にまで熟することなく

流れてしまった夢も

 

大人になりきれないまま

いたずらに時を重ねた

ボクには辛く重すぎたから

 

光を遮断し目を閉じて

闇の中に身をさらし

毒蜘蛛の糸に絡みとられて

命の息吹を閉ざされよう

 

精一杯伸ばされた友の手も

細くて白いあのこの指先も

今のボクには遠すぎて

 

暗くて先が見えない温かな闇の中

固く封じ込められた心に

いつの日か

光が届くことを夢見ながら

悪夢の中を彷徨おう

 

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ハルノオトズレ

 

 ハルノオトズレ

 

朝夕の寒さが和らいで

刺すような空気の冷たさが

感じられなくなった頃

ハックション

はっくしょん

 

部屋の出入りなど

空気が変わるたびに

くしゃみが出てきて止まらない

春の災厄が始まった

 

まだ

目のかゆみは出ていないし

喉もたいしたことはないが

温かい日が増え

春一番が吹きだせば

いつもの春が来る

 

そろそろ

花粉症の薬を飲んで

マスクを用意して

春の受難に備えなければ

 

如月から弥生へ

春の足音が近づいてくる

 

 

 

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別れの時間

 別れの時間

 

日付が変わってすぐ義兄が逝った

姉から緊急入院の連絡が入って

六時間あまり経った頃だった

当初は明日の朝もしかすると帰れないかも

という程度で

処置の前には元気に会話していたという

 

二時間あまりしてから連絡を取ると

心肺停止状態で危ないという

急いで隣の市にある日赤病院へと向かった

車の少なくなった夜の道を一人

走る 走る 走る

穏やかで人懐っこい義兄の笑顔が浮かんだ

 

 

病院のベッドに横たわる義兄の顔は

眠っているように穏やかだった

十名あまりの親戚が集まる待合室

姪は幼い娘や夫とともに車で向かっている

けれども甥は最終電車に乗れず始発を待つらしい

 

穏やかで優しく面倒見のいい義兄だった

友人も多く仕事で県内あちこちを走り回り

年末には地元神社の世話役の一人だった

怒った顔や怒鳴り声などほとんど記憶にない

周りから親しまれ愛されていた人だった

 

泣き崩れる妻と娘の横で

一歳半の孫が何もわからずに声を上げる

その声に今にも目を覚ましそうな顔で

静かに横たわってはいたが

その目は二度と開くことはなかった

 

零時四十二分

義兄は静かに妻や娘や孫や親戚に見守られ

六十五年の生涯を閉じた

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仰げば尊し

 仰げば尊し

 

晩秋の頃一枚の葉書が届く

大学時代の恩師の訃報

先生は六月の半ばに亡くなられ

伊勢の高台にある霊園に

静かに眠っておられるという

 

共通一次試験後の一期生

問題意識も連帯感もない

ワガママでいい加減な私たちを

穏やかにそして辛抱強く

いつも見守ってくれていた

 

英語の原書の講読ゼミで

つい居眠りをしてしまったり

何で日本語訳ではなく難しい原書を と

自分の努力不足を棚に上げて反発したり

必ずしも真面目な学生ではなかった

 

だが

後にその本の訳本を読んで

先生の思いが理解できた

原書に直接接しなければ見えない

そんなことがたくさんあったのだ

 

大学を卒業して働き始め

様々な現場で頭を打ち苦労して

やっとの思いで経験を積み重ね

日常の日々を積み重ねた

 

日常の忙しい日々の中で

みんなで集まろう の声が出ると

先生への連絡役はたいてい私で

都合がつくと参加していただいた

 

退官の話を聞いた時には

その年ではなく翌年に…との希望で

みんなで集まり記念品を贈った

そして昨年は体調不良のため欠席

集まったメンバーはとても残念がった

 

訃報を知って日を調整したが

どうしても都合がつかない

事前に伊勢に住む同期生に案内してもらい

二人で霊園を訪ねて墓前で十字を切った

見下ろせば伊勢の街並みと神宮の森

風はあったが空は青く晴れ渡っていた

 

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懐かしい情景

懐かしい情景

 

夕暮れの国道を

ひとり帰路につく

スピーカーから流れる

懐かしい歌声

それが流行っていたころは

毎日ギターを抱えていた

 

ハーモニックス

ハンマリング

そしてスリーフィンガー

お年玉で買ったギターで

上っ面の羞恥心を含んだ声で

はやり歌を歌う一人の時間

 

それを積み重ねるうちに

ギターの腕も上がり始め

大学に入るころには

サークルの伴奏役の一人となり

卒業前にはギターの腕を買われ

歌声サークルや市民合唱団に

ギターをもって参加した

 

月日は巡り歳を重ね

二つのギターも年に数回触る程度

幹の指も左の指もその動きは鈍く

もはや「人間カラオケ」と呼ばれた頃は

はるか遠くに去って久しい

 

それでも

あの頃の唄を聞いていると

懐かしい時代のことがよみがえる

まだ若かった仲間たちの笑顔や

ほのかな思いや感情や悩みまで

すべての懐かしさが心を温めてくれる

 

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魔女の時間

 魔女の時間

 

(

)

〇◎クリニック

●×美容外科

美魔女にアンチエイジング

TVから流れる美女たちの

薄っぺらな美しさ

 

きれいな魔女に

かわいい魔女

ステキな魔法が

ステップ踏んで

いま軽やかに踊りだす

 

でも本当は

そんなの似合わない

 

赤い月が上がった

真夜中の雲の上

心の闇にうごめきながら

古びた箒が空を行く

 

濁った欲に指を立て

怪しいクスリをかき混ぜて

歪んだ心にひとたらし

滅びの調べを流し込む

 

忘れられ廃れた白魔術

妖しい力が滲みだす

正義と真実を引き裂いて

どんより沈んだ光の中に

魔女の笑いがこだまする

 

あと少しだよ もう少し……

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夜明け前

 夜明け前

 

 

眠れない夜が

 

続いてるここ数日

 

ボクはぼんやりと

 

窓を開けながら

 

群青の夜空を見上げます

 

 

 

夏の星座は西に沈み

 

秋の星が東にのぼります

 

細長く鮮やかな光を放つのは

 

明けの明星でしょうか

 

 

 

やがて群青の空は

 

一層青さを増して

 

星座の輝きを奪い始めます

 

もうすぐ夜が明けるのです

 

 

 

でも

 

心に広がる闇は

 

相変わらず深く強く

 

ボクの奥底に居座り続けて

 

 

 

明けない夜はないと

 

誰かが気軽に言っているし

 

確かに今日も夜が明けるけど

 

ボクの心は置き去りにされたまま

 

 

 

闇の中に惑いながら

 

光を求めることもできないけれど

 

それでもこうして生きているボク

 

暗闇の中で何とかひとり

 

ただぼんやりと生きています

 

 

 

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こ・わ・れ・る

こ・わ・れ・る

 

Windows10のアップデートの後

急にパソコンが不調になった

認証までたどり着けず使用できない

しかたなく近所の詳しい友人に預ける

 
 
 

 

もう一つの7があるからと

軽い気持ちでいたが

翌日7の入ったパソコンも

USBを差し込んでも反応しなくなった
 

実は前からキーボードも

ノートパソコンの本体は壊れていたので

USBから別のキーボードを接続していたため

万事休す 印刷もスキャンも何一つできない
 

 

7月末が締切の同人誌の編集も

プリントの作成や編集も

例会案内の文書の作成や印刷も

ブログやフェイスブックの更新も

書きかけの小説の続きを書くことも

エッセイや詩の推敲も

パソコンが壊れただけで

すべてが完全にストップしている
 

 

と言って

すぐに新しいパソコンを買う余力もない

金を稼ぐ仕事以外のやらなければならないことは

とりあえず何一つ進められない
 

 
 

 

でも

もしかするとこれはチャンスか

とりあえず読めてなかった本を読み

見そこねていたDVDを見よう

壊れたパソコンがくれた

ゆったりとした時間を味わいながら

今夜は

少しだけ早く寝よう

 

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雨の通院

 雨の通院

 

起きる前から続いていた雨の中

母をかかりつけの医者に連れていく

高齢な上に病を抱えているが

それなりに家の周りを動き回っていた

それがこの数日体調が悪い

 

点滴をするということで

一人車の中で終わるのを待つ

ワイパーの止まったフロントガラス

雨粒が落ちては広がり流れていく

道の向こうに見える鎮守の森は

雨に濡れて瑞々しさを増している

 

正午前にようやく点滴は終わり

車に乗せて自宅に連れ帰る

食前の薬が一つ食後が三つ

食べられないかと心配したが

お粥を食べて薬も飲んだようだ

 

昼食を終えて一人部屋に帰る

雨音はまだ

途切れることなく続いている

 

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