カテゴリー「詩歌・歌詞」の223件の記事

ファンタジームーン

 ファンタジームーン

 

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庭先の畑に

桜が香り始めたころ

ボクはぼんやりと

夜空を見上げる

 

数か月前の

冷たく尖った空気は

いつの間にか消え去って

星のマタタキも

どこかしらやわらかい

 

こんな夜には

妖精や魔物が

人の目から隠れて

宴会をしているからね

 

小さい頃

おじいちゃんが

そんな話をしてくれたのを

ふと思いだす闇の中

 

今夜は

何となくそれを信じたい

 

西の空で霞んだ月がささやく

現実の狂気に踊っていないで

そろそろこちらにおいで

 

ボクはそっと

左の手首を見つめる

 

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足音

 足音

 

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温かな日差しの中

そよ風が頬をくすぐる

黄色の波が揺れる

菜の花畑が広がる

 

まだまだ寒いと

着こんでいた服を脱ぎ

金の鱗のきらめく

海面を眺める

 

堤防には釣り人がちらほら

さすがにモコモコの姿はない

日が翳ると少し寒いが

それでも

手袋やマフラーはいらない

 

やがては弥生月

桜の枝先にも

つぼみが見えている

多少花粉も気になるが

春の足音が近づいている

 

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いい湯だなぁ

 いい湯だなぁ

 

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一日の仕事を終えて

ひとり ぽかんと

湯船につかる

 

冬空の外仕事で

凍り付いた指先に

痺れるような感覚が

じんわりと広がる

 

手も足も

こんなに冷え切って

筋肉までも

凍り付いていた

お湯の温かさが

それを教えてくれる

 

じんわりとした感覚を

指先につないだまま

足の指を曲げ

足の指を反らす

痛気持ちいい感覚が

ふくらはぎや太ももを走る

 

向う脛の骨の外側や

硬くなったふくらはぎを

感覚の戻らない指で

強く抑えもみほぐす

少しずつ筋肉が

柔らかさを取り戻す

 

湯船に

熱いお湯を足しながら

静かに目を閉じる

若い頃には味わえなかった

何とも幸せな感覚

 

いい湯だなぁ

 

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境内

 境内

 

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聖域の庭に

火花が巻き上がる

白装束の男たちが

炎を守るように

周りを取り囲む

 

大晦日の境内は

地元の参拝者で賑わい

お神酒や甘酒などが振舞われ

子どもたちの声が響く

 

毎年恒例の大晦日参り

いつもはひっそりとした神社が

活気にあふれる時間帯

丸太を重ねた焚火は

勢い良く燃えている

 

冬の冷たい空気の上には

澄み渡った星空が広がる

色々なことがあり

慎ましい日々の中

つつがなく過ごした

この一年が終わる

 

賽銭を投げて柏手を打ち

この一年の無事を感謝し

次の一年の平安を願う

鮮やかな星の光の下

あと数時間もすれば

新しい年が始まる

 

 

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雨上がり

 雨あがり

 
 

一週間ほど続いた雨は

ようやくひとやすみ

小鳥の声が

庭先から聞こえてくる

 

お日さまを待っていた洗濯物は

庭のあちこちに広がって

ちょっと湿っぽい風に

ふんわりと揺れている

 

雨はそれほど嫌いじゃないけど

一週間も続けば十分かも

久しぶりの日差しに

少しだけ頬がほころびる

 

それでも

灰色の雲はあちこちにあふれ

雨のにおいを運んでくる

夕方はまた雨かもしれない

 

瞳を閉じて

湿気を含んだ空気に指先を伸ばすと

指の間からボクの心が零れる

 

壊れかけた部分が

秋風に溶けていけば

少しだけ楽になるかも知れない

 


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夜明けまで

 夜明けまで

 

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夜明け前の東の空に

オリオンがまたたく

九月の声を聞くと

こんな空に出会える

 

オリオンは

小学生の頃に知った

大好きな星座

その頃は冬にしか見られないと

思い込んでいた

 

夜更かしを覚えて

そうではないことを知ったのは

いつの頃だろう

今よりもずっと傷付きやすく

気まじめだった

 

もう WAKAI とは

言いにくくなった今

あの頃の純粋な気持ちは

どこか濁り淀んで

それを歳のせいにするボクがいる

 

でも

こうして九月のオリオンを見ると

ちょっとだけ

素直で優しい気持ちを思い出す

 

虫の声が聞える星明り

空が群青になる前に

そっと眠りに就こう

 

 

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雨上がり

 雨あがり

 

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降り続いた雨が

ちょっとひとやすみ

洗濯物の間を

風が吹き抜ける

 

松の木の横に置かれた

雑草をいれたバケツ

昨夜降った雨水で

細い葉が浮いている

 

ムラサキツユクサの

青い花びらが

じっとりとした空気の中で

風に揺れている

 

見上げれば太陽は隠れて

どんよりとした灰色の雲が

藤棚の向こうの西の空に集う

また雨が降るのかもしれない

 

ツユクサの花の下に生える

ミントの若葉を摘む

せめて車の中に

さわやかな香りを乗せたくて

 

茶色に染まった指先を

鼻に近付けてみる

爪の間から

ミントの香りが零れる

 

 

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ファジームーン

 ファジームーン

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気温の下がらない

蒸し暑い真夏の夜空に

ぽっかりと半月がゆらめいて

 

ボクの心のように

薄い雲が輪郭を

あやふやにしている

 

グラスに氷を入れ

今夜の月のような

カクテルを注ぐ

 

ファジーネーブルは

くすんだ光に照らされて

カランコロンと音を立てる

 

昼間の疲れの成果

どんよりと重い身体に

冷たい液体が染み込む

 

それでも

ぼんやりとした心は

覚醒もせず淀んでいる

 

ティーンの頃は持て余した時間が

少しずつスピードを増して

夢を削っていく

 

寝苦しい夜を超えるため

もう一本カクテルを開ける

薄い雲を身にまとった月光が

ボクの魂に絡みつく

 

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誕生

 誕生

 

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早朝から携帯に

写真入りのメールが届く

六時五〇分過ぎ

女の子生まれる

 

姉からのメールには

姪の赤ちゃんの写真が

添付されている

どうやら無事に生まれたらしい

 

大阪に嫁いだ姪が

帰省したのは今月半ば

小柄な姪は

スイカを抱えたような姿だった

姉もとうとう

おばあちゃんだ

 

早速

両親を車に乗せて

病院へと走る

車で走ること一時間

迷いもせずに病院に着く

 

階段を上がると

ガラス越しに赤ちゃんが泣いている

小さな手をジタバタさせ

元気良く動いている子がそうだ

そういえば姪はお転婆だった

この子も元気が良さそうだ

 

病室を訪ねると

姪夫婦と姉夫婦の笑い声

その中に両親とともに加わる

 

ひときわ暑い七月の終わり

記憶に残る幸せな一日となりそうだ

 

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小雨の一日

小雨の一日

 

昨夜からの雨は

しっとりと町を濡らし

公園の木々の若葉が

瑞々しく輝く

 

腰を下ろそうと

石段を上ったが

外側の長椅子は

降り続く雨にぬれている

 

騒がしかった警察も

ヘリや巡視艇も去り

いつも通りの静けさが

海沿いの町並みに戻ってくる

 

ツバメが低空を飛び

県道を行ったり来たり

雀や鳶や鶯の鳴き声も

あちこちから聞こえる

 

戻ってきた日常の中に

軽自動車や軽トラが行き来し

漁港からは船のエンジン音が

近づいて遠ざかる

 

小雨は降ったりやんだり

それほど強くない風が

堤防沿いの歩道を

絶え間なく吹き抜ける

 

小さな水滴の着いた

眼鏡を手に取って

ハンカチで拭く

桜の若葉が揺れている

 

 

 

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