カテゴリー「海邦遥(みくにはるか)詩集」の29件の記事

魔女の時間

 魔女の時間

 

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〇◎クリニック

●×美容外科

美魔女にアンチエイジング

TVから流れる美女たちの

薄っぺらな美しさ

 

きれいな魔女に

かわいい魔女

ステキな魔法が

ステップ踏んで

いま軽やかに踊りだす

 

でも本当は

そんなの似合わない

 

赤い月が上がった

真夜中の雲の上

心の闇にうごめきながら

古びた箒が空を行く

 

濁った欲に指を立て

怪しいクスリをかき混ぜて

歪んだ心にひとたらし

滅びの調べを流し込む

 

忘れられ廃れた白魔術

妖しい力が滲みだす

正義と真実を引き裂いて

どんより沈んだ光の中に

魔女の笑いがこだまする

 

あと少しだよ もう少し……

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夜明け前

 夜明け前

 

 

眠れない夜が

 

続いてるここ数日

 

ボクはぼんやりと

 

窓を開けながら

 

群青の夜空を見上げます

 

 

 

夏の星座は西に沈み

 

秋の星が東にのぼります

 

細長く鮮やかな光を放つのは

 

明けの明星でしょうか

 

 

 

やがて群青の空は

 

一層青さを増して

 

星座の輝きを奪い始めます

 

もうすぐ夜が明けるのです

 

 

 

でも

 

心に広がる闇は

 

相変わらず深く強く

 

ボクの奥底に居座り続けて

 

 

 

明けない夜はないと

 

誰かが気軽に言っているし

 

確かに今日も夜が明けるけど

 

ボクの心は置き去りにされたまま

 

 

 

闇の中に惑いながら

 

光を求めることもできないけれど

 

それでもこうして生きているボク

 

暗闇の中で何とかひとり

 

ただぼんやりと生きています

 

 

 

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くもり空

くもり空


夕暮れまでは晴れていた空は

すっかり雲に覆われて

月はもちろん

星の光も見えない

 

どんよりとした雲は

雨の予感を振りまきながら

静かに夜の町を見下ろす

穏やかな春の夜

 

温かな空気が

疲れたボクの心を包み

透明な眠りの世界へと

沈黙の声で誘ってくる

 

このまま

永久の眠りの中に

ひとり落ちていくことが

もしかしたら幸せなのか

 

そんな声の誘惑に

ボクは力なく首を横に振る

 

日々の暮らしは

年々夢を奪っていき

ただ惰性で生きている

そんな風に思える

 

けれど

ちょっとした誰かの微笑みに

希望の光が宿ることがある

それを信じて明日を生きたい

 

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ファンタジームーン

ファンタジームーン

 

庭先の畑に

桜が香り始めたころ

ボクはぼんやりと

夜空を見上げる

 

数か月前の

冷たく尖った空気は

いつの間にか消え去って

星のマタタキも

どこかしらやわらかい

 

こんな夜には

妖精や魔物が

人の目から隠れて

宴会をしているからね

 

小さい頃

おじいちゃんが

そんな話をしてくれたのを

ふと思いだす闇の中

 

今夜は

何となくそれを信じたい

 

西の空で霞んだ月がささやく

現実の狂気に踊っていないで

そろそろこちらにおいで

 

ボクはそっと

左の手首を見つめる

 

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雨上がり

 雨あがり

 
 

一週間ほど続いた雨は

ようやくひとやすみ

小鳥の声が

庭先から聞こえてくる

 

お日さまを待っていた洗濯物は

庭のあちこちに広がって

ちょっと湿っぽい風に

ふんわりと揺れている

 

雨はそれほど嫌いじゃないけど

一週間も続けば十分かも

久しぶりの日差しに

少しだけ頬がほころびる

 

それでも

灰色の雲はあちこちにあふれ

雨のにおいを運んでくる

夕方はまた雨かもしれない

 

瞳を閉じて

湿気を含んだ空気に指先を伸ばすと

指の間からボクの心が零れる

 

壊れかけた部分が

秋風に溶けていけば

少しだけ楽になるかも知れない

 


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夜明けまで

 夜明けまで

 

夜明け前の東の空に

オリオンがまたたく

九月の声を聞くと

こんな空に出会える

 

オリオンは

小学生の頃に知った

大好きな星座

その頃は冬にしか見られないと

思い込んでいた

 

夜更かしを覚えて

そうではないことを知ったのは

いつの頃だろう

今よりもずっと傷付きやすく

気まじめだった

 

もう WAKAI とは

言いにくくなった今

あの頃の純粋な気持ちは

どこか濁り淀んで

それを歳のせいにするボクがいる

 

でも

こうして九月のオリオンを見ると

ちょっとだけ

素直で優しい気持ちを思い出す

 

虫の声が聞える星明り

空が群青になる前に

そっと眠りに就こう

 

 

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ファジームーン

 ファジームーン

 

気温の下がらない

蒸し暑い真夏の夜空に

ぽっかりと半月がゆらめいて

 

ボクの心のように

薄い雲が輪郭を

あやふやにしている

 

グラスに氷を入れ

今夜の月のような

カクテルを注ぐ

 

ファジーネーブルは

くすんだ光に照らされて

カランコロンと音を立てる

 

昼間の疲れの成果

どんよりと重い身体に

冷たい液体が染み込む

 

それでも

ぼんやりとした心は

覚醒もせず淀んでいる

 

ティーンの頃は持て余した時間が

少しずつスピードを増して

夢を削っていく

 

寝苦しい夜を超えるため

もう一本カクテルを開ける

薄い雲を身にまとった月光が

ボクの魂に絡みつく

 

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菜の花の風景

菜の花の風景

        

 

市内のあちこちで

工事をしている音がする

桜には少し早いが

ようやく温かさが

朝の空気にもやどる

 

ボクは少し窓を開け

車に風を入れる

通り過ぎる窓の向こうで

黄色の波が揺れる

 

そういえば去年も

菜の花は咲いていたかも

 

めったに通ることのない

海沿いの道だが

なぜかしら春ごろに

通ることが多いこの道

 

町並みは少しずつ変わっていくが

菜の花の揺れる一角は

去年も一昨年も

あまり変わらない

 

ボクも

あまり変われないまま

ぽつり ぽつり と

歳を重ねていく

 

仕事に向かう朝のひととき

風に揺れる菜の花が

春の訪れを告げている

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雨の風景

     雨の風景

 
降り続く雨の中
道端の電柱で工事をしている
雨の音に混じるのは
鶯やカラス そして名も知らぬ鳥の声
 
人も車もほとんど通らぬ
静かな田舎道
山や畑の緑も
降り続ける雨に洗われて
瑞々しく光っている
 
そこへ現れた 一匹の犬
首輪していないが
人を恐れる様子もなく
静かに辺りを見回している
 
ボクの視線に気づいたのか
こちらを見て
様子をうかがっている
 
犬は しばらくそうしていたが
やがてもと来た小道を
ゆっくりと戻っていく
 
雨は降り続き
里は穏やかな時間を
ぽつり ぽつり と
重ねていく

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幻の春

幻の春

冷たく暗い空に
シリウスが光る
肌を刺す冷たい風
空気が全身を凍らせる
 
希望の見えない時代に
真実を隠ぺいした
空虚なコトバだけが
マスコミから垂れ流される
 
人の言葉から耳を塞ぎ
軍国色の妄想を押し付け続ければ
対話に絶望した人間は
テロに向かうしかない
 
さくらの季節まで
あとふた月
サイフの中はさびしく
仕事や十分な収入もなく
先の見えない狂気の時代の中で
ボクの心は
正気を保てるだろうか
 
穏やかで平和な春
凍てついた冬空の下で
ボクはそれだけを想い続ける

 

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