カテゴリー「未来伝説スザーン」の11件の記事

未来伝説スザーン 11

 

   悲劇の帝王リュオウの最期

 

宮殿の地下の神殿の

そのまた奥に現れた

神殿遺跡の柱には

ラーマ神殿の古代文字

それこそ大地の水晶を守る

金色の合成獣リュオウの待つ神殿

 

その神殿に響き渡る

漆黒の魔獣の咆哮は

九つの頭を持つドラゴン

九頭竜帝王のうなり声

スザーンは太陽剣を構え

九頭竜帝王と対峙する

 

ビームと氷と重力波

走る稲妻舞う炎

溶解液にマグマ弾

九頭竜帝王の攻撃は

どんな敵よりも強力で

次第にスザーンを追い詰める

 

絶体絶命のその一瞬

わずかな隙を見逃さず

スザーンの身体は宙に舞い

九頭竜帝王の真上から

太陽剣を振り下ろす

 

起死回生のその瞬間

突然消える太陽剣の刃

同時に魔竜の身体から

広がり周囲を包むのは

不思議な真珠色の光

 

やがて光が消えた後

スザーンとイナーダのその前に

水晶の首飾りを胸に掛け

金色に輝く鱗を持った

九つの頭の竜が立つ

 

その姿こそ記憶の中の

大地の水晶の守護者(ガーディアン)

無敵の合成獣リュオウ

スザーンは驚き立ちすくみ

太陽剣を取り落とす

 

そんなスザーンを前にして

金色の竜の目に涙が光る

リュオウは二人に跪き

悲しみの果ての真実を

九つの口から語り出す

 

お二人を待つ孤独の時が

私の心を狂わせました

一人の寂しさに耐えるために

私はコンピューター・テラルから

人類の歴史を学びました

 

彼らの歴史が見せたのは

果て無き欲望のその末に

生み出され苦しむ合成生物

人類の欲望の為に使役され

命さえも弄ばれる

 

虐げられる彼らの姿に

私は嘆き怒りを覚えました

それが人類への憎悪を生み

合成獣と合成人の

国を作ろうとしたのです

 

国を作るそのために

合成獣・合成人・人類たちを

反目させて差別させ

何十年もの時間をかけて

私は帝国を作りました

 

それでもお二人への思いは別で

作ってはみた大帝国も

お二人なしでは意味がない

お二人のクローンも作らせたけれど

やはり本物のお二人ではない

結局お目覚めのその時を

心から待つ毎日でした

 

けれども人類への憎しみが

合成獣メトロを暴走させて

連絡を受けたその時は

私は何もできぬまま

お二人の敵になってしまいました

 

その絶望を隠す為に

黒い姿に身を変えて

自分と周囲を偽ってみても

五〇〇年の思いには勝てず

無残なこの身を晒しています

 

リュオウの哀しい告白に

スザーンとイナーダは言葉を失い

ただ呆然と立ち尽くす

何の為の戦いだったのか

何の為の犠牲だったのか

二人の心をよぎるのは

虚しく散った多くの命

 

夢にまで見たお二人と共に

テラルを再建する使命の為に

お二人を守って働きたかった

けれども私の大きな罪は

自分が誰よりも知っています

この上は大地の水晶をお二人に残し

自らの命で償いましょう

 

リュオウはそう言い残すと

我が身を自ら炎で包み

悲しみのまま燃え尽きる

激しい炎が消えた後

焼け跡に残った宝石は

最後の神器大地の水晶

スザーンはそれを手にし

哀しい瞳をイナーダに向け

そして

天を仰いで号泣した

 

                   〔完〕

 

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未来伝説スザーン 10

 

  九頭竜城突入

 

鳥人王子ホルスとシュラに

案内されて地の底の

秘密の通路を走り抜け

スザーンたちは闇の中

九頭竜城に接近する

 

三重の壁と堀を持ち

合成獣と獣人たちの

厳しい警備に守られた

帝国の要の九頭竜城

その内側の神殿の

奥の壮大な宮殿に

九頭竜帝王は住むという

 

帝国屈指の戦士の集まる

厳重な警備を前にして

スザーンたちは策を練り

捕囚を偽り警備を抜けて

外城の中まで進入する

 

内城を守る近衛軍

その最強の将軍は

悪魔の知恵と憎悪の心と

光の剣を持つ男

スザーンの影、黒のナーザス

 

入りあぐねるその時に

一人の男が現れる

獣王アレスの密命帯びて

獣人兵士を指揮する勇者

無双の剣の腕を持つ

獣人騎士バルナス

 

バルナスの計略と協力で

シュラとイナーダとスザーンは

獣人兵士に変装し

剣士バルナスの指揮の下

ナーザスの目を偽って

内城の中に入り込む

 

勇者バルナスに告げられた

アレスの密かな命令は

スザーンとイナーダに協力し

九頭竜帝王とナーザスの陰謀あばき

帝国に真の自由をもたらすこと

 

スザーンたちの侵入を

見届けた後バルナスは

かねての手筈に従って

獣人軍団を指揮しつつ

九頭竜城の真ん中で

帝国に反旗を翻す

 

バルナスの反乱と呼応して

九頭竜城の外城に

攻撃を始める大軍団

獣王アレスの竜騎兵

鳥王オシリスの空戦隊

鬼の村の義勇軍

メタル・シティーの自衛軍

人間たちのレジスタンス

 

自由を求める連合軍は

堅い守りを突破して

鳥人王子ホルスと合流し

内城の中へと進行し

さらに神殿へと肉薄する

 

混乱を極める九頭竜城

シュラとスザーンとイナーダは

九頭竜帝王の姿を求め

神殿の奥に作られた

宮殿内に入り込む

 

その三人の前に立つ男

光の剣を持つ剣士

運命の男黒のナーザス

ナーザスは二人の配下と共に

スザーンを討つべく切り掛かる

 

意地と復習と憎悪の末に

生死とテラルの未来をかけた

三対二の激しい戦闘も

シュラとスザーンの気力によって

とうとうナーザスを追い詰める

けれども一瞬の虚をついて

ナーザスはイナーダを盾にする

 

シュラとスザーンとナーザスの

時間の止まるその瞬間

人質になったイナーダが

死をも恐れずナーザスに対し

激しい言葉を口にする

 

あなたがナーダを殺さなければ

スザーンはアトルのまま生きて

二人ささやかな幸せを築き

一人残されたわたしは

あなたを選ぶしかなかった

 

けれども嫉妬と憎悪の心のために

あなたはその手でナーダを殺し

自分の未来を放棄した

優しいナーダを殺したあなた

私は死んでもあなたを憎む

 

最愛の人に憎まれて

ナーザスは呆然と立ちすくむ

戦意を失ったその一瞬

復習に燃えるシュラの剣が

ナーザスの胸に突き刺さる

 

愛する人の恋人の

スペアでしかないこの身ゆえ

俺はスザーンと人類を

心の底から憎悪した

けれどもそれゆえの苦しみも

今死ぬことで救われる

 

悲しむべきはこの運命

もはやスザーンに怨みはない

最後に一つ伝える事は

九頭竜帝王はここにはいない

神殿の地下でただ一人

スザーンとイナーダを待っている

 

謎を残したその言葉

いまわの際に言い残し

ナーザスは寂しく息絶える

残る一人は九頭竜帝王

ナーザスの教えた通路を抜けて

スザーンとイナーダは二人きり

神殿の地下へと進み行く

 

 

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未来伝説スザーン 9

 

   永遠のナーダ

 

一角獣襲撃の報告と

もぬけの殻の北の塔

ナーザスはバルナスの話を聞いて

すべてを悟りバルナスと

二人を追って城を出る

 

さらにアレスの軍団が

ナーダを追って動き出す

二人の美女を捕えんと

闇の荒野を動く群れ

夜の静寂を引き裂いて

砂漠竜(サンド・ザウルス)が咆哮す

 

砂漠竜の咆哮に

最強騎兵の投入を

シュラとホルスは察知する

それを村に知らせるために

シュラは一人で引き返す

 

鬼の村への間道を

一角獣の背中に二人乗り

イナーダたちはひた走る

後に迫るバルナス・ナーザス

二人が捕えられる寸前に

アトルとホルスが辿り着く

 

出会って一目見た瞬間

アトルはやはりスザーンと

イナーダは気付き涙する

けれども危機の迫る中

イナーダは言葉を発しえず

アトルを見つめるだけだった

 

そんな心を知らぬまま

アトルは二人を守りつつ

村を目指してひた走る

ホルスはそれを援護して

ナーザスたちを攪乱す

友情と信頼に支えられ

アトルは村に帰還する

 

シュラの知らせに武装して

守りを固める鬼の村

愛する人を村に残し

村の戦士を引き連れて

アトルとシュラは闇の中

奇襲のために引き返す

 

夜の砂漠を疾走し

村へと迫る竜騎兵団

その侵攻を止めようと

水の枯れた死の谷で

火薬を仕掛けるアトルたち

軍団が谷に入ったその瞬間

谷の崖が崩れ落ち

岩が軍団を押し潰す

 

奇襲の筈が奇襲を受けて

軍団を立て直すそのために

最強騎兵は引き返す

獣王アレスはそれを聞き

自ら剣と手綱を握り

砂漠竜を走らせる

 

朝焼けに染まる空の下

アレスは自ら騎兵を率いて

真正面から攻め立てる

一方バルナスとナーザスに

遊撃用の部隊を与え

西と北から攻めさせる

 

激しいアレスの攻撃を

堅固な防御で耐える村

けれども一瞬の虚をついて

バルザスとナーザスが突入する

ナーザスは光の剣を持ち

ナーダとイナーダに肉薄する

 

遊撃隊の全滅と引き換えに

ナーダを再び捕えるが

フォーンの命を賭けた激しい抵抗で

ナーザスは村に足留めされる

急を聞き戻ったアトル目掛けて

憎悪の剣が降り降ろされる

 

死を覚悟したアトルの前に

ナーダの身体が飛び出して

アトルの身体を突き飛ばし

ナーザスの剣に貫かれ

アトルの胸で息絶える

 

ナーダ絶命の衝撃が

《スザーン》の記憶を呼び戻す

その瞬間ファルコが現れて

スザーンの上から急降下

太陽剣をスザーンに渡す

 

銀戦士スザーンの出現に

ナーザスは慌てて姿を消す

伝説の太陽剣の輝きは

戦いを一気に終わらせる

アレスもナーダの死を知って

自らの愚かさに気付き

村との平和条約を結び

後悔の中で涙する

 

平和の戻った鬼の村

ナーダの墓に別れを告げて

スザーンは村を後にする

共に旅する三人の仲間

イナーダ、ホルス、そしてシュラ

目指すは仇ナーザスと

彼を操る九頭竜帝王

 

 

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未来伝説スザーン 8

 

   さらわれたナーダ

 

三つの国の停戦に

帝国は使者を派遣する

その使者黒のナーザスは

アトルの姿を目に留めて

憎悪の炎を燻らせる

 

終わった筈の争いは

憎悪によって再燃す

折りしも美しい娘が一人

一角獣(ユニコーン)フォーンの護衛を連れて

山の向こうに辿り着く

 

娘の旅の目的は

五〇〇年の時を超えて

最愛の人と巡り会い

その胸に抱き締められること

運命の娘その名はイナーダ

 

獣人王国の奇襲によって

再び戦火が燃え上がる

その影で暗躍する一人の男

調停の使者ナーザスが

突然剣を抜き放ち

ナーダをさらい姿を消す

 

一方山の向こうでは

遠い旅から帰りし勇者

獣人騎士バルナスが

一角獣と旅する一人の娘

イナーダと出会い目を見張る

 

バルナスの呼ばれた目的は

鬼の村一の美女ナーダ

けれどもその美しい姿は

額の角を除けば

イナーダとほとんど瓜二つ

 

そんなことなど知らぬバルナス

イナーダとナーダを間違えて

フォーンの一瞬の隙をつき

運命の美女イナーダ捕え

獣人王国へと連れて行く

 

帝国の使者の裏切りに

鬼の村は激怒する

再び武器を取る村人と

守りを固める鬼の村

アトルとシュラとホルスはすぐに

ナーザスを追って村を出る

 

一方獣人王国では

ナーザスのさらってきたナーダ

バルナスのさらってきたナーダ

二つの不思議な報告に

獣王アレスはとりあえず

二人を北の塔へと隠す

 

北の塔の牢獄で

出会った運命の美女二人

角を除けば双子のように

良く似た姿に驚き合うが

二人でそこを抜け出すために

お互いのことを語り合う

 

ナーダの話を聴くうちに

アトルこそ求めるスザーンと察し

イナーダは一人胸を痛める

それでも今は脱出が先と

身重のナーダを庇いつつ

イナーダは行動を開始する

 

暗い闇夜のアレス城

月光鏡で剣を出し

牢の鍵を破壊して

脱出を図る美女二人

けれども厳しい警戒に

北の塔から動けない

 

あわや見つかるその時に

一角獣フォーンが現れる

フォーンの機転と力によって

二人は塔から脱出を果たし

スザーンのいる鬼の村目指し

夜に紛れて城を出る

 

 

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未来伝説スザーン 7

 

   鬼の村

 

川の流れの遥か下

スザーンを助け上げたのは

心も姿も美しい

鬼の村の長の娘

癒しの手を持つ美女ナーダ

 

獣人王国と鳥人王国

二つの国に挟まれた

小さな谷の奥にある

鬼の村は角を持つ

合成人たちが集う場所

 

平和を愛する鬼たちは

日々の暮らしをたてる為に

人より優れた体力と

ささやかな超能力と

使って静かな日々を送る

 

頭に生えた角を除けば

美しい人の肢体を持つ鬼たち

だがその人に近い姿ゆえ

合成獣たちに妬まれて

帝国からの迫害を受け

狭い平地に押し込められて

貧しい暮らしを送っていた

 

そんな小さな村の中

ナーダの手厚い看護によって

スザーンは再び目を開ける

けれども記憶は失われ

ベッドの上で日を過ごす

 

ナーダの看護と励ましで

傷も癒え体力も回復し

ナーダの弟の形見の角と

アトルという名を譲り受け

ナーダと共に鬼として

暮らし始める谷の村

 

戻らぬ記憶の不安を隠し

静かで平和な日々が続く

やがて芽生える恋の後

兄のシュラの反対も

ナーダの想いに押し切られ

アトルとナーダは結婚し

幸福を積む愛の日々

 

獣人たちの侵入が

平和の日々を終わらせる

獣王アレスの目的は

鬼の村の隷属と

癒しの手を持つ美女ナーダ

 

自由と自治を守るため

平和を愛する鬼たちも

戦うことを決意する

スザーンは鬼のアトルとして

生まれる子どもとナーダのために

シュラと共に剣を取る

 

危機の迫る鬼の村に

救いの手が差し伸べられる

幼馴染のシュラのため

妹のように愛したナーダのために

鳥人王子ホルスが来る

鳥人王国の援助を受けて

村はアレス軍を撃退す

 

鬼と超人の連合に

獣人王アレスも手を焼いて

帝国からの調停を

渋々ながら受け入れて

軍を引きあげ停戦す

 

それでもアレスの野望は未だ

治まりきれず心の中に

機会を狙って燻っていた

その野望ゆえ呼ばれし勇者

獣人騎士バルナスは

旅を切り上げ王国目指し

日一日と近づいていた

 

そんな不安は抱えていたが

自由と独立を守った村で

アトルとシュラとホルスが共に

堅い友情を誓い合い

平和の時を噛み締めていた

 

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未来伝説スザーン 6

 

   黒のナーザス

 

大地の水晶とイナーダ求め

西へと向かうスザーンを

激しく憎む男が一人

スザーンと同じアポロンの身体

ビームの剣を持つ戦士

その名は黒のナーザス

 

スザーンが希望の光なら

ナーザスは憎悪の黒い影

メタル・シティーの協力で

九頭竜帝王が生み出した

スザーンと同じ力を持った

帝国最強のクローン戦士

 

スザーンの細胞から造られた

クローンであるナーザスは

アポロンの身体だけでなく

イナーダへの愛もそのままに

心の内に持っていた

 

イナーダをこの手に抱くには

スザーンの存在が邪魔になる

帝国のため愛のため

憎悪に狂うナーザスは

その手でスザーンを殺そうと

スザーンを求め旅をする

 

影が光に出会うのは

赤い砂漠のその向こう

氷の山脈を踏み越えた

獣人王国の北の果て

険しい谷の崖の道

 

既に帝国の中枢で

九頭竜帝王の使徒として

巨大な権力を手に入れた

影の男ナーザスは

スザーンの足取り追い求め

獣人王国に現れる

 

たまたま出かけた辺境で

小さな噂を耳にする

アポロンの身体を持つ男が

隼を伴って西へと旅する

その噂に導かれ

北の谷で待つナーザス

 

やがて谷の崖の道に

一人の男が現れる

アポロンの身体と隼で

即座にスザーンと認識し

憎悪にかられたナーザスは

無言でスザーンに切りかかる

 

いかに無敵のスザーンも

突然自分に襲われて

逃げも反撃も出来ぬまま

重傷を負い谷底へ

分からぬままに落ちていく

 

谷に呑まれたスザーンを

救おうとしてファルコが急ぐ

水の上から微かに覗く

剣を持つ手に急降下

だが一瞬の遅れから

ファルコの爪からすり抜ける

重傷を負ったスザーンの右の手

 

そしてファルコに残ったものは

僅かな袖の切れ端と

太陽剣の柄だけだった

すでにスザーンの姿は見えず

意識もキャッチできぬまま

ファルコは谷を旋回する

 

流れの速い激流に

スザーンの身体は見出せず

ファルコの旋回する姿

それが何よりの証拠だと

ナーザスは自分に言い聞かせ

不安を圧し込め谷を去る

 

 

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未来伝説スザーン 5

 

   メタル・シティー

 

ディアナの愛した平野を後に

西へ西へと進み行く

今スザーンが目指すのは

砂漠の彼方にあるという

科学の都メタル・シティー

 

砂漠の中に輝く都市は

銀の城壁強固な守り

文明途絶えたテラルにあって

《最終戦争》以前の技術

すべてを持った未来都市

 

だが希望の都市の運命を

狂わせたのが《最終戦争》

平和な研究都市すらも

放射能に侵されて

生き延びるために人々は

機会の身体に心を移す

 

その人々を組織して

合成獣を撃退し

街を守った五人の戦士

メタルの身体と強力な武器

獅子・蛇・鷲・鮫・豹の猛獣と

マシンの戦闘力を併せ持つ

シティーの守護神・五獣衛士

 

強い機械の身体ゆえ

合成獣を撃退し

シティーを守り続けていたが

不意に感じる寂しさは

生身ではない機械の身体

 

強い力と寂しさが

市民の心を狂わせる

生身の身体の感触求め

シティーは帝国と手を結び

人間狩りを開始する

 

人間たちの村を襲って

美しい若者や娘をさらい

気の向くままにその身体

市民の心を移し換え

生身の暮らしを謳歌する

 

一方さらわれた人々は

シティーの横の亜人街で

便利さの鎖につながれて

希望を閉ざされ生きていた

 

スザーンは街に侵入し

心ある人たちと手を結び

レジスタンスを組織して

シティーに対して剣を抜く

 

亜人街での反乱に

五獣衛士は策を練り

衛士の一人ジャガードを

生身の身体に移し換え

レジスタンスに潜入させる

 

一人の娘を装って

スザーンに近づいたジャガードは

スザーンに心を動かされ

人間の心を取り戻す

 

五獣衛士である前に

人間として女として

優しき勇者スザーンは

ジャガードには特別な存在に

それに気づいたジャガードの

心は惑い揺れ動く

 

愛し尊敬するスザーンと

彼が率いるレジスタンス

けれども五獣衛士の一人として

戦う使命を持つ存在

 

迫り来る戦いの日を前に

ジャガードが選んだその道は

スザーンのために口を閉じ

五獣衛士の使命を背負い

スザーンと戦い死ぬこと

 

そして決戦の時が来る

激しい戦いを制すのは

すべてを切り裂く無敵の刃

伝説の神器太陽剣

 

苦しい戦闘を潜り抜け

シティーに達したスザーンは

太陽剣をきらめかせ

五獣衛士を退けて

亜人街を解放する

 

戦いの後ジャガードは

機械化人の悲しみと

心の弱さにつけこんだ

九頭竜帝王の企み告げて

スザーンの胸の中息絶える

 

メタル・シティーの哀しみ背負い

新たな怒りを胸に抱き

九頭竜帝王を倒すため

一人荒野を目指し行く

運命の銀戦士スザーン

 

 

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未来伝説スザーン 4

 

   哀しみのスフィンクス

 

氷の海を踏み越えて

大地を一人旅行けば

突然開ける緑の野

実り豊かなアルカディア

 

心に眠る思い出の

匂いに満ちた風景は

遠いあの日にイナーダが

寄り添い語ったあの景色

 

平和に暮らす村人の

顔に微かな暗い影

時々村に現れて

命を啜るスフィンクス

 

女神の顔と獅子の身体

妖しき魔人スフィンクス

豊かな実りと引き換えに

若い命を連れ去って

何処へともなく消えていく

 

平和の日々を脅かす

スフィンクスを倒さんと

止める村人に微笑み返し

魔獣を求めて進み行く

 

そのスザーン目の前に

不意に現れ出でたのは

長い黒髪バラの頬

遥か遠くの神殿で

目覚めた筈の愛す人

 

スザーンの姿を一目見て

イナーダはスザーンの胸の中

肩をふるわせ涙して

再会の日をかみしめる

 

「九頭竜帝王の合成獣に

月光鏡を奪われて

古城に捕われていたけれど

見張りの一瞬の隙をつき

やっとここまで逃げてきたの…」

 

怯えて旅をしたがらぬ

イナーダをどうにか説き伏せて

神器を求めて進み行けば

旅する二人の後を追う

スフィンクスの黒い影

 

七人の娘の命と引き換えに

やっと追い詰めたスフィンクス

金髪の下のその顔は

愛するイナーダと瓜二つ

 

「あなたにだけはこの姿

見られたくはなかったわ

だから変身を維持するために

多くの娘に手をかけた

だけど知られたこの上は

あなたのその手で殺して欲しい」

 

血を吐くような魔獣の叫び

だがスザーンは動けない

手に太陽剣を持ったまま

魔獣の前で凍りつく

スフィンクスはそれを見て

太陽剣に飛び込んだ

 

「私はスフィンクス・ディアナ

あなたの愛するイナーダの

細胞から作られたクローンよ

身体も心もイナーダと同じ

あなたと愛し合える筈だった

だけど九頭竜帝王の企みで

メタル・シティーに送られて

こんな姿に変えられた

あなたに抱かれて死ねるのが

せめてもの私の幸せよ…」

 

そんな言葉を言い残し

ディアナは寂しく息絶えた

微笑むような死に顔に

スザーンの目にも涙が光り

静かに頬を伝って落ちた

 

ディアナを葬ったスザーンに

激しい怒りが湧き上がる

ディアナの為にこの手できっと

九頭竜帝王を倒してみせる

新たな決意を胸に抱き

再びスザーンは旅に立つ

 

 

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未来伝説スザーン 3

 

   氷の大地

 

多くの記憶はまだ霧の中

けれども使命は心の中に

巫女イリャーナの祈りと共に

深く確かに刻印された

 

五〇〇年の時を超え

一人目覚めた目的は

荒れ果てたテラルの大地に

人々の文明を復興する

それがスザーンの使命だった

 

その目的を果たすため

スザーンとイナーダに託されたもの

精神力をエネルギーに変え

すべてを貫き切り裂く刃

無敵の刀《太陽剣(アポロ・ソード)》と

精神力で写した像を

実体化する《月光鏡(ルナ・ミラー)》

そして物質をエネルギーに変え

結晶内に蓄える

神秘の宝玉《大地の水晶(アース・クリスタル)》

 

二人に託された三種の神器

太陽剣はスザーンの手に

月光鏡はイナーダの手に

最後の一つ大地の水晶は

すべてを記憶したコンピューターと共に

海の向こうの大陸の南端にある

古代神殿に封印される

 

二人が目覚めるその日を待って

大地の水晶を守るのは

そのためだけに作られた

無敵の巨大な合成獣

金色の身体九つの頭

高い知性と力を持った

最強合成獣リュオウ

 

リュオウの守る神殿の

大陸に渡るそのために

北の大地の氷河の道を

一人スザーンは進み行く

 

北の大地の支配者は

雪と氷とブリザード

自由に操る白い神

氷河の白獅子その名はライン

 

ラインは村の守り神

年に一人の生け贄を

捧げなければならないが

他の魔獣を追い払い

自然の猛威を鎮めては

村を救ってくれる神

 

だがもう一つのラインの顔は

メトロの無二の親友で

九頭竜帝国の合成獣

メトロの敵(かたき)のスザーンを

葬るために牙を剥く

 

何が村人の幸せなのか

そう迷いつつスザーンも

身を守るために剣を取り

一人ラインと対峙する

 

凍てつく大地の氷雪地獄

心も凍る激しい攻撃に

死を覚悟したスザーンだったが

イナーダの面影に励まされ

最後の力を振り絞る

 

吹雪の中で太陽剣が

眩いばかりの光を発し

氷と雪を切り裂いて

ラインの身体に突き刺さる

 

激しいブリザードが止んだ時

氷河に崩れる白獅子ライン

《神》を殺したスザーンは

石もて人に追われ行く

 

孤独の戦士スザーンを

慰め導く面影は

ただ最愛のイナーダの

夜空に浮かぶ笑顔だけ

 

哀しい戦いを胸に沈め

再び遠い大陸めざし

凍てつく氷河を踏み越えて

スザーンは一人旅を行く

 

 

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未来伝説スザーン 2

 

   炎の谷

 

五〇〇年の時を経て

大陸の果て、海の果て

小さな島の神殿で

目覚めた戦士が一人

運命の戦士

その名はスザーン

 

アポロンの身体を持ちながら

すべての記憶は失われ

ふらつく身体で引き抜いた

伝説の神器・太陽剣(アポロ・ソード)

 

太陽神の神殿に

たった一人で残された

十五歳の巫女イリャーナに

炎の谷に住む魔獣の暴虐と

銀戦士の伝説を聞かされて

心に浮かぶ面影と

記憶を戻す手がかり求め

伝説通りに旅に立つ

 

行く手を遮る最初の敵は

炎の谷を根城にし

マグマと炎を操って

人々を苦しめる合成獣

赤き炎の虎メトロ

 

太陽神の神殿の

二十人の巫女を殺し

村を襲って焼き払い

傍若無人の魔獣メトロ

けれどもなぜか神殿に

一度も入ったことはない

 

巫女イリャーナに導かれ

炎の谷で対峙する

伝説の銀戦士スザーンと

不死身の合成獣メトロ

 

メトロの激しい攻撃を

素早い動きでかわしつつ

鉄をも切り裂く太陽剣で

必死の反撃試みる

 

鋼の刃も撥ね返す

メトロの赤い皮膚さえも

太陽剣は貫くが

手強いメトロの反撃に

柄だけ残して折れる剣

 

絶体絶命その時に

太陽神殿の石像が

轟音響かせ崩れ去り

中から飛び立つ銀の鳥

 

機械で出来たハヤブサは

ファルコという名のガーディアン

スザーンの危機を察知して

炎の谷までひとっ飛び

嘴からビームを吐きながら

メトロめがけて急降下

 

ファルコの鋭い鳴き声が

記憶の封印突き破り

危機に陥ったスザーンの

第二の目覚めを呼び起こす

 

メタル・コーティング!!

 

その叫び声に反応し

二つの腕輪が光り出す

眩い光に包まれて

空中元素が結集し

超金属(スーパー・メタル)が身体を包む

 

さらにファルコが変形し

頭部と胸部に装着する

不破の鎧を身にまとい

銀色に輝くその姿

伝説の戦士がそこに立つ

 

スザーンの手には太陽剣

精神力が光となって

その刀身に収束する

光り輝く太陽剣は

全てを切り裂く無敵の刃

 

目覚めた戦士スザーンに

メトロの力が爆発する

噴出すマグマに渦巻く炎

焦熱地獄が押し寄せる

 

だがスザーンは一歩も引かず

剣の波動で炎を払拭し

メトロめがけて一直線

太陽剣を振り下ろす

 

さしもの不死身のメトロでも

太陽剣には抗えず

鋼の身体を切り裂かれ

マグマの上に倒れ伏す

 

九頭竜帝王の命令を

守ってさえいたならば……

 

その一言を言い残し

魔獣メトロは絶命す

赤いメトロの亡骸は

マグマの海に飲み込まれ

大地の裂け目に消えていく

 

戦い終わって見上げる空に

浮かぶ面影その人は

五〇〇年の時を超え

海の彼方で彼を待つ

最愛の人イナーダ

 

今自らの使命に目覚め

三種の神器とイナーダ求め

ファルコと共に遥かな道を

スザーンは一人旅に出る

 

 

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