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仰げば尊し

 仰げば尊し

 

晩秋の頃一枚の葉書が届く

大学時代の恩師の訃報

先生は六月の半ばに亡くなられ

伊勢の高台にある霊園に

静かに眠っておられるという

 

共通一次試験後の一期生

問題意識も連帯感もない

ワガママでいい加減な私たちを

穏やかにそして辛抱強く

いつも見守ってくれていた

 

英語の原書の講読ゼミで

つい居眠りをしてしまったり

何で日本語訳ではなく難しい原書を と

自分の努力不足を棚に上げて反発したり

必ずしも真面目な学生ではなかった

 

だが

後にその本の訳本を読んで

先生の思いが理解できた

原書に直接接しなければ見えない

そんなことがたくさんあったのだ

 

大学を卒業して働き始め

様々な現場で頭を打ち苦労して

やっとの思いで経験を積み重ね

日常の日々を積み重ねた

 

日常の忙しい日々の中で

みんなで集まろう の声が出ると

先生への連絡役はたいてい私で

都合がつくと参加していただいた

 

退官の話を聞いた時には

その年ではなく翌年に…との希望で

みんなで集まり記念品を贈った

そして昨年は体調不良のため欠席

集まったメンバーはとても残念がった

 

訃報を知って日を調整したが

どうしても都合がつかない

事前に伊勢に住む同期生に案内してもらい

二人で霊園を訪ねて墓前で十字を切った

見下ろせば伊勢の街並みと神宮の森

風はあったが空は青く晴れ渡っていた

 

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