SF神戦記 超銀河アローン 21
二、激闘…遥かなる時空
⑥
☆
その瞬間、超新星の爆発と見紛う程の光が空間に出現した。
光は即座に収縮して高密度の球体となり、一点に結集を始める。2人のアローンの全身から陽炎のように光が溢れ、それがそのまま光球へと流れ込んで行く。燃え盛る光球はさらに輝きを増しながら成長し、揺らぎながら黄色から白へ、白から青へと変色していった。そして…。
…エイ!…
一振りの気合いと共に、光球弾は、ミッドガルドΓの額に突き刺さった。
ウグァ~・ァ~・ァ~…
その瞬間、ミッドガルドΓの意識が弾け飛んだ。
凍て付いた銀白の巨体に光の割れ目が走る。割れ目は、加速度をつけるようにミッドガルドΓの全身に広がり、氷竜の体は、ガラス細工の竜が砕け散るように粉々になって飛散した。そして微細な白い粒子と化したミッドガルドΓの残骸は、そのままゆっくりとブラックホールの闇に吸い込まれていった。
同時に、時空を圧していた凍気は、潮が引くように消滅した。戦闘は終わったのである。
…《生きてる、私たち生きてるわ。本当に勝てたの?》…
…《どうやら、そうらしい。僕たちは、自分の能力を自覚し、それを使って、自分の意志で全力を尽くして戦い、勝利を得たんだ。僕はようやく一人前になれたような気がしている。今こそ僕は地球人・星野賢司ではなくアローンG7に、そして君はラメールのミオナではなくアローンG3となったんだ。そう僕は思うよ》…
「アローン…。アローンG3…」
ミオナは複雑な表情でその言葉を口にした。
ここまでは必死だった。何かを考える時間も心のゆとりも無く、ただ運命の激流に流されるままに戦い続けた。火炎竜シュラングル、そして氷竜ミッドガルド。恐るべき魔竜との戦いの中で故郷の星ラメールを離れ、来た事もない未知の宇宙空間に佇んでいる。
だが、一連の戦闘が終わった今、ミオナは、余りにも変わってしまった自分自身と対峙しなければならなかった。ここは、ラメールの誰1人として到達し得ていない宇宙空間であり、ミオナはアローンG3としてここにいる。けれども、つい昨日までは、彼女は名も無い看護学生の1人に過ぎなかったのである。
「怖い…怖いわ。私はどうなってしまったの? そして、どこまで行けば良いの? アローンって一体何? どうして私は戦わなければならないの? 私…」
極限の戦いを終えてようやく心にゆとりが生まれた時、ミオナは混乱した。兄オランを失った悲しみ、故郷の大地を離れ宇宙へと飛び立った不安、そして、延々と続くであろう戦いの予感…全ては、昨日まで只の少女であったミオナには重すぎるものであった。
「ミオナ…」
その時、そっと肩を抱いてくれる温かい手を感じた。アローンG7。ラメールからずっと共に戦い、導いてくれた地球人・星野賢司がそこにいた。
「君の思いは、僕の思いでもある。だけど、例えどんな場にいても、戦いは、様々な形で存在する。自然との戦い、他の人との戦い、そして自分自身との戦い…。生きる事はきっと、それ自体が戦いなんだ。それがラメールであっても、僕の故郷・地球であっても、アローンとなって佇むこの宇宙空間であっても多分同じだと思う。僕たちが向き合わなければならなかった変化は確かに大き過ぎるものだったかも知れない。でも、そのお陰で君と出会えた。そして、共に戦う中でお互いを受け入れ、分かり合い、協力することが出来た。君も僕も、決して1人じゃない。こんなに分かり合える相手が目の前にいるんだから。2人で運命に惑わされずに、しっかりと自分自身を見詰め続ければ良いんじゃないだろうか。君とだったら、きっと僕はやっていけると思う」
ミオナは賢司に振り向いた。そこには兄のように優しい目があった。この人とならやって行けるかもしれないと思った。ミオナはそっと賢司に身体を預けた。冷たく広大な宇宙空間の中で、信じられないような温かさと安らぎをミオナは感じるのだった。
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